「よつばと – YOTSUBA & ! -」

 どこからやって来たのだろうか、一台の軽トラックに家具を乗っけてよつばがこの街に引っ越してくるところからこの作品は始まります。
 しかも明日からは夏休みなのだ。
 よつばはまだ幼く(5歳)、学校とは無縁だが、それでも間違いなく彼女の夏休みがこの街でスタートするのである。
 この作品は、一日一話になっている(と思う)。
 ちょっと前にヒットしたアメリカのテレビドラマ「24 -TWENTY FOUR-」は、複数の出来事がリアルタイムで進行し、全シーズンが1話1時間の全24話で完結する、らしい。私は実際に見てないしファンの方と話したこともないので実際どうなのかはよくわからないのだけども、ただそれを聞いてピンときたモノがありました。あ、ドストエフスキーだ、ってね。ロシアの文学者ドストエフスキーのある作品は、その作品を音読した時間と、登場人物がしゃべったり行動したりすることを実際に測った時間とを比較してみると、それらはほぼシンクロする、というのを読んだことがあります。つまり、時間は表現できる、ということ? それってすごくない!? ま、そんなことは置いといて、この時間というものを表現しようとする作品は、小説だけでなく映画でもドラマでもマンガでも見受けられます。そしてそれらには一種、共通の空気感が生まれるのかな? こう、時間の流れがものすごくゆっくりな(逆にものすごく速いときもある)のに実に密度が濃い、というか、奥行きがある、というか・・・ 夏休みという特殊な時間と空間を表現するにはこの方法は最適なんじゃないかな、なんて思ってしまいました。
 「最も消化し難いモノは時間である」という言葉をどっかのしちめんどくさい作品で読んだ気がします。こちらも夏休みにはピッタリの言葉ではないでしょうか。でもよつばは、それがどうかしたのかとばかりにガツガツと「時間」に食らいつき、かたっぱしから消化しまくっていきます。その食いっぷりや、実に気持ちいい。見ていてスカッとするぐらいだ。向こうがこっちを全然見てないのがまたかわいい。
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■出版社
アスキー・メディアワークス社
■著者
あずまきよひこ
■内容(オビより)
 いつでも今日が、いちばん楽しい日。
 ちょっと変わった女の子よつばちゃんと、とーちゃんと、その周囲の人たちが繰り広げるささやかな日常。なんにもないところにあふれる不思議な空気。読むとなんだか楽しくなる、ただそれだけの、ちょっと普通のマンガです。
 暴走するよつばにつき合ってくれる周りの人もまた大人なんです。よつばの奇想天外な発言や行動にいちいち真面目につき合ってくれます。本当、彼女はしあわせだよなー、と思ってしまう。でも楽しいからつき合ってくれるんだろうな。よつばといると自然と元気が出てくる感じがします。

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