「ノルウェイの森」

 中学 . 高校生のときは主に学校の図書館で本を借りて読んでいました。または古本屋で立ち読みばかりしていました。本屋で買うことがあるとすればお気に入りの作家が新作を出したときぐらいだったように思います。なにしろ学生時代はお金がなかったので(わたしの家ではバイト禁止でした)。
 そんな高校生な私が文庫本でなく値段のするハードカバーの単行本を一気に2冊も買ってしまったことがあります。その赤と緑の表紙にもののみごとに惹きつけられてしまいました。ほとんど一目惚れ状態です。作者は全然知らない人だし、私が見つけたときはベストセラーになる前だったと思いますので、本当に「(なんか分かんないけど)キレイだ」という理由だけで購入してしまったことになります。そしてどっぷりハマってしまいました。
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■出版社
講談社
■著者
村上 春樹
 本好きの友人達の会話にもこの本の名前が出てくるようになり、自分の読んだ本が後からベストセラーになるという経験にひどく戸惑ったのを覚えています。当然友人達にも貸しだしたりしましたが、反応はさまざまだったように思います。全然分かんない、って人もいたし、嫌いじゃないけど性的表現が執拗でその意味するところが分からないっていう友人もいた。もちろんものすごく気に入ってくれる友人もいたのですが、残念ながら、それでも会話がはずまなかったように覚えています。問題は、この作品の何がいいのかをうまく説明できないことにあったように思います。今でも私はうまく説明できないと思います。
 でもしごく簡単に内容を言えば、一人称で語られる恋愛小説、でしょう。もしくは、恋愛をテーマにしたものすごく出来のいい群像劇のような感じ、でしょうか? 残念ながらハッピーエンドではなく、その彼女は最後で自殺してしまうのですが。著者の別の作品から言葉を引用すれば、
「 そう、ある種のプロセスは何をもってしても変更を受け付けない、僕はそう思う。そしてそのプロセスとどうしても共存しなくてはならないとしたら、僕らにできるのは、執拗な反復によって自分を変更させ(あるいは歪ませ)、そのプロセスを自らの人格の一部として取り込んでいくことだけだ。」
これが一番しっくりくる解説のような気がします。ね、ぜんぜん説明になってないでしょ?

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