「かもめ食堂」

 全ては思い出の中にある。だから優しくて幸せな印象をこの作品に受けるのだろうか。だとすれば、こんな挿話があっても面白いのかな?
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 ぼくはサチエおばあちゃんが大好きです。ぼくにご本を読んでくれたり一緒にお庭で遊んだりしてくれます。サチエおばあちゃんは昔に食堂をやっていたことがあるので、お料理もじょうずで、甘くてやわらかい手作りのケーキを作ってくれます。そんなときにぼくにサチエおばあちゃんがヘルシンキにやってきたばかりのころのお話をしてくれます。それはすごくぼくのお気に入りで、何度も何度もお願いして前に話してくれた続きを話してもらいます。このケーキも思い出のケーキだと言ってました。そして手作りケーキを食べながら話してくれるお話はいつもぼくをドキドキさせます。
 「そうだねえ、この前はどこまではなしたっけ?」
 だからサチエおばあちゃんの所にいくのがぼくは大好きです。
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 なんちゃって!
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■出版社
幻冬舎
■著者
群 ようこ
■内容(カバーより)
 ヘルシンキの街角にある「かもめ食堂」。日本人女性のサチエが店主をつとめるその食堂の看板メニューは、彼女が心をこめて握る「おにぎり」。けれどもお客といえば、日本おたくの青年トンミひとり。ある日そこへ、訳あり気な日本人女性、ミドリとマサコがやってきて、店を手伝うことになり…。普通だけどおかしな人々が織り成す、幸福な物語。
 これは回想録なのだと思う。主人公「サチエ」がある時ふと懐かしい思い出を語りだす。あまりそう言った事をする人ではないと思うのだが。何があったのだろうか。ちょっと想像しただけでもわくわくさせられるが、とにかく無茶をして単身ヘルシンキまで乗り込んできた、大変だったが今となっては楽しい思い出しか残っていないあの時の事を話してくれるのだ。そう思えば、ご自慢のおむすびをいただきながら年寄りの昔話であっても黙って聞くのもまた楽しいではないか!

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