「マルコムX自伝」

 アメリカの黒人解放運動指導者のキング牧師とともに紹介される彼は今だに無法者扱いだ。アメリカ以外でも銃乱射事件のニュースを見たりすると、彼がその銃弾に倒れてからいったい何年が経ったのだろう、彼のメッセージはなぜ届かないのだろうかと考えてしまいます。銃は家族を守る時に使うものだというのに。
 ちょっと脱線しますが、ハリウッド映画は必ず「家族の絆」を – どんなかたちであれ – 入れないとヒットしないと聞いたことがあります。私自身ハリウッド映画にはまっていた頃も、このテーマはこの映画では必要ないんじゃないかなと感じる作品もありました。だからこの自伝を読もうとした時に、冒頭で妻と子供に対する敬意の言葉から始まったときは正直読むのをやめようかと思いました。でも、彼の最後の最後まで – 本当の意味で – ともに歩んでくれたのは、教団の仲間でも尊師でも神でもなかった。妻ベティだ。彼女はマルコムと出会った頃から、また彼が教団から追いやられるときも「ベティはなにもいわず、妻としての心の広さと底知れぬ理解力で受けとめてくれた。それに包まれ、私は元気づけられた。」と素直に告白しています。時には現実として起きることに泣きながら彼にぶちまける時もあったでしょうが、彼女はいつも颯爽としている印象を私は受けた。
 彼の自伝に「 ある国の倫理的長所短所が、女性 – とくに若い女性 – の街頭での態度と服装で容易に推測できる 」とあります。自分なりには「その国の文化レベルを知りたければその国の女性を観ればいい」と解釈していますが、彼からそんな科白が出てくるのはビックリすると共に当然なのかもしれないと印象深く思いました。自伝の中でも告白しています。「 妻だけが私をわかってくれた。これほど女の強さを当てにしようとは、かつての私なら想像もしなかっただろうが 」なにせネイション・オブ・イスラム教団において父親とは家族の手本になるべき立場にあるのだから。だから朝起きるのも一番に起きないといけないんですよ。
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■出版社
河出書房新社
■著者
マルコムX
■内容(Amazonより)
 マルコムX自身が死を予感する中で「ルーツ」の著者アレックス・ヘイリィに語り綴られた異色の自伝。
 「腕時計をしない人を私は信用しない」的なことを書いていたと思います。改めてオリジナルの文章を読み返そうとしたのだけど、どこにあるかがわかりませんでした。なので間違ってたらごめんなさい。でも言いたかったことは、時間を守らない人を信用しろといっても無理な相談だ、って事だと思います。ケイタイであったりスマホであったりiPhoneであったり、時間を確認する道具は他にもいろいろあるご時世でいまさら腕時計でもないと思います。でも私はそれを読んで以来 腕時計をするようにしています。それぐらいならなんとかできそうなので。

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