「犬連れバックパッカー」

 世の中には「散歩部」というものがあるらしい。散歩とは「特定の目的もなく気楽に出歩くこと(=逍遥)」ということらしいので、それを楽しむ人たちの集まり、ということになるのでしょうね。私も散歩大好き人間だったりしますので、ちょっとした時間が空いたり気分転換したいなと思ったらすぐに外にでて歩こうとします。さらに気分が良かったりすると小一時間ぐらい帰ってこなかったりします。そんな性格だからでしょうか、私は山に登ることに対しても拒否感があまりありません(登山=苦痛と感じる方もいるようです)。ただ本当に散歩部が存在していたとしても、残念ながら私は入部まではしないかもしれません。自分はひとりでいるタイプだと思っているからです。でも今回の作品を読んでからちょっとだけ考えが変わりました。正直、パートナーがいるというのはうらやましい、と思ってしまいました。人間の方ではなく犬の方なのですが…
514XQQRAYCL._SS500_.jpg
■出版社
新潮社
■著者紹介(カバーより)
斉藤 政喜
 1961(昭和36)年長野県生れ。またの名を「シェルパ斉藤」という。生粋のバックパッカー作家(旅をしてそれを作品にしている)。揚子江のゴムボート下りをきっかけにライターとしてデビュー。’95(平成7)年に八ヶ岳南麓に移住し、自分の手で家をつくる。ふたりの息子と妻、3頭のレトリーバー(ニホ、サンポ、トッポ(もちろん長男は一歩))、猫のジッポとともに田舎暮らしを楽しみつつ、旅に明け暮れている。
■内容(カバーより)
「息子のクリスマスに、子犬をあげよう」田舎暮らしを始めたシェルパ斉藤がそう思いついた瞬間から、冒険は始まった。大阪からベビーカーに乗せて八ヶ岳の麓に連れ帰り、最北の島、礼文・利尻、さらに伊豆大島横断、思い出の松本、紀伊半島…。日本全国を一緒に野宿して旅するうちに、弱々しかったニホは、逞しいアウトドア犬に成長していく。心温まる、愛と感動のバックパック紀行。
 散歩でも登山でも旅でも、誰といっしょに行くかというのは重要な要因のひとつなのでしょうね。著者の作品はいくつもあるのですが、特にこのレトリバーのニホが登場する作品がお気に入りです。私は別に犬好きという訳ではないのですが、彼女が登場する作品は今までの日常生活を別の見方で魅せてくれるところが面白くて、あ、こんな世界があったんだ、と素直に感動させてくれる作品だと思います。

Share

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Optionally add an image (JPEG only)